ライトノベルの等身大演出についての個人的考察
試験的にコミケに寄稿したライトノベル関連の原稿を修正・加筆して載せるコーナー.
原本全部乗せると買った方に迷惑なのでこのエントリ自体は比較的簡易的な更新である.といっても加筆しているので全く別のコラムになってしまった.
気になった方はぜひイベントで合わせて買ってみていただきたい.
Vol1の立ち読みはこちらのエントリで出来る
以下本文
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ライトノベルの主人公,ヒロインに求められているものの一つに「等身大感」というものがある.
よりキャラクターを身近に感じることで感情移入しやすくなったり,「突っ込みやすくなったり」する.
”妄想の介入しやすさ”の指標とも言える.
私の考える等身大演出の至上命題は
「想像(妄想)のストレスフリー化と,読者の作品のカタルシスへのシームレスな移動」
である.
ここで,私が思う,ライトノベル「三大等身大演出」紹介したい.
1―孤独
友情からの孤独,親不在による孤独,他にもいわゆる「超孤独」(死なない,など)が存在する.
孤独感を出すという演出は現在孤独な状況である読者へのアプローチだけではない.
現在コミュニケーション強者として存在している読者へも,友情の乖離や愛の喪失などで危機感を煽ったり,様々な演出により痛烈な印象を与えることができる.
- 作者: 渡航,ぽんかん8
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- 作者: 平坂読,ブリキ
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またそれを強いコンプレックスとして描くのではなく,それを主軸にした人間関係のエピソードを交えて,作品全体のスパイスにしている点が特徴的だと感じる.「真の孤独」を追求する必要などどこにもない.演出である.
- 作者: 砂義出雲,瑠奈璃亜
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孤独感の演出は得てして「等身大の妄想」を掻き立てられやすい.
2―自立
親からの自立が代表する「経済的自立」恋愛などを経て成長するの「精神的自立」が存在する.
- 作者: 松智洋,なかじまゆか
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ライトノベルにおいてみれば,先に紹介した「孤独」からこの「自立」の演出へと移行することが一般的である.
また,「自立」は将来自分が通る避けられない未来であることが多いので,それをまじまじと実現するキャラクターたちを通してカタルシスを得ることは,等身大演出の至上命題を実現する上で無くてはならない背景の一つであると考えている.
3―依存
幼馴染,親友,親などから派生する「過去への依存」
キャラクターたちの出会い,別れ,時には病気などを描く「現在の依存」
時には関係の消失や,死・消滅をちらつかせ不安を煽る「未来への依存」
が存在する.
他の二つとは毛色が違ったので最後に紹介した.
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫)
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それは「誰(何)に依存しているか」「どうやって依存しているか」「なぜ依存したか」である.
これらをうまく見せることで「読者に納得」してもらい,感情移入を促す.必然的に過去現在に渡って鮮烈なインパクトのあるエピソードが入りやすく,キャッチーな趣味性癖をもった読者はのめり込みやすい.
もう一つ作品を紹介する.
- 作者: J・さいろー,しろ
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クラスの成績で1番を取りたい,良い高校に入りたい.
可愛い女の子とSEXしたい,無理やり犯されてしまいたい.
思春期は決してきれいごとだけではない.得てして他のライトノベルなどでは容易に削ぎ落されてしまう強い「欲望への依存」をエンターテイメントに昇華している点を強く私は評価したい.
この3つの演出を時には組み合わせ,繰り返し,転がしていくことによって時には「王道パターン」と呼ばれる流れを作ることも出来る.
個人的に考える最大の成功例は「とらドラ!」であろう.
- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
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私がここで紹介したものは1例に過ぎず,実に「等身大」は奥が深いものであることをここに明記し,次のテーマに移っていきたい.
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本コラムは「ライトノベル放送局文芸部」が発行する「LsB Vol1」にある,「りここのなんでもラノベコラムンムン♥」の一部を加筆修正したものである.
いかがだっただろうか.
なんていうかいま見ても,よく分からないまとめになっている.正直加筆修正したところでなんともならない酷さである.原文はもっと酷いので気になった酔狂な人がいたとしたらぜひお手に取ってもらいたい.(他の人のコラムもよろしく☆)