ライトノベルのタイトルについての個人的考察
試験的にコミケに寄稿したライトノベル関連の原稿を修正・加筆して載せるコーナー.
原本全部乗せると買った方に迷惑なのでこのエントリ自体は比較的簡易的な更新である.といっても加筆しているので全く別のコラムになってしまった.
気になった方はぜひイベントで合わせて買ってみていただきたい.
Vol1の立ち読みはこちらのエントリで出来る
以下本文
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昨今のライトノベルのタイトルの変化は追いかけるだけで面白い.
当初「修飾語や体言」をスッと書くだけで体裁をなす作品が多かったが,その後「シンプルかつ直感的なデフォルメタイトル」が流行したような印象があった.そして現在の「長文タイトル」の時代に来たというわけだ.(あくまで主観的な主張であることはご理解いただきたい)
例:
ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス! (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 風見周,おときたたかお
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2002/05
- メディア: 文庫
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殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 風見周,G・むにょ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/06/23
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- 作者: 風見周,ひなた睦月
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/08/20
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- 作者: 風見周,konomi
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/08/10
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なぜ長文タイトルが流行したのか,という議論は各地で何回も起きている.
諸説が玉石混淆だが個人的に支持しているのは,
「昨今のライトノベルの表紙,あらすじだけでは内容理解に乏しく,タイトルを文章にすることによって購入者の作品全体の世界観の理解を深める」
という説.
確かにライトノベルは白い背景にヒロインという表紙がかなり多く,さらにあらすじの限られたスペースは内容を1フレーズにズバっとサマライズする場ではなく,序盤の大まかな流れしか書いていないので「世界観」や「背景設定」などを説明するのには不得手である,と納得したのだ.
まぁここら辺の議論は本エントリの趣旨から外れるので(一応手元にまとめてある)いずれ機会が有れば紹介したい.
さて寄り道もした所で本題に入るが,私が本エントリで主張したいのはライトノベルのタイトルに求められている以下三要素のことである.(ただしこれはニコニコ生放送での雑談や,他の方との議論で生まれたものである)
- 創造
「内容理解のしやすさ」
- 破壊
「既存意識を超えるインパクト」
- 維持
「覚えやすい・忘れにくい」
インパクトや理解のしやすさを優先すると,タイトルが覚えにくくなってしまう.
(この場合の極端な例が「長文タイトル」)
例:
- 作者: 明坂つづり,茶みらい
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/12/17
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覚えやすさやインパクトを意識すると,内容が理解ができなくなる.
(この場合の極端な例が4文字タイトル)
例:
がく×ぶる (がく×ぶるシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 本田透,相音うしお
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/12/25
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ただバランスを取れば良いというものでもなく,しかしながらどれかを立たせるとどれかが疎かになる.非常に難しい問題だ.
出版社はこれらの三つの要素をうまくパラメータを振ってタイトルを決定している(に違いない!)
しかし,長文タイトルの中でも幾つかはこれら三つとも同時に高めることに成功している作品もある.その要因の一つに「略しやすさ」というものがある.
例:おれいも
- 作者: 伏見つかさ,かんざきひろ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 渡航,ぽんかん8
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/18
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そう,これからの時代,長文タイトルは「略しやすいかどうか」というものでも篩(ふる)いがなされるのである.実に面白い展開だ.
まだまだ書きたいことがあるが,まぁあまりダラダラかくのも難なのでココら辺で失礼する.
おわりここ.
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いかがだったでしょうか.
ちなみに個人的に好きなタイトルは僕がなめたいのは、君っ! (ガガガ文庫)とか殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)です.