ソードアート・オンライン〈9〉 感想&考察
ソードアート・オンライン (9) アリシゼーション・ビギニング (電撃文庫)
- 作者: 川原礫,abec
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: 文庫
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「小説とは,いかに登場人物(主人公)をいじめるか」とは榊一郎先生の言だが,過去の因果は早々断ち切れるものではないらしい.
あいかわらずのリア充っぷりを見せ付けられ,やきもきしてしまうが,大きく2点が興味深いと感じた.
1点目.シノンの話.
6,7巻と続いたファントムバレット編,そのシノンの後日談や事件を経た価値観変化がびっくりするほど丁寧に書かれていて驚いた.
ひとつの事件がしっかり結実し,傷跡を残し,そしてそれにどう相対するかをしっかり描くことは非常に重要で,それによって世界観に一層の深みが増している.
2点目.MMORPGの話.
単純なサイバーパンクに落とし込むのではなく,<揺らぐ光>というアクセルワールドで既出のキーワードをベースにしっかり根を張るSF描写が印象に残った.今後どういった広がりを見せるのかはもちろん,主人公と同じく,SAOの世界がどのような結末を迎えるのかという読者の想像を掻き立てた.うまい.
ともあれ,新たな章の幕開けにふさわしい内容だった.さすが看板作品の一角である.